信号無視に関する罰則や責任

 

 こんにちは。東京の弁護士の伊藤です。

 

 交通事故案件を取り扱っていると,信号無視で事故が発生したという案件も少なからず見受けられます。

 今回は信号無視に関する罰則や,民事上の責任に及ぼす影響などについてお話したいと思います。

 

1 信号無視に関する罰則

 信号無視に関する規制は道路交通法が定めています。

 道路交通法7条は,道路を通行する車両は、信号機の表示する信号に従わなければならないと規定しています。

 そして,赤信号の場合は,車両は停止位置を越えて進行してはならないとされています。

 また,黄色信号の場合でも,停止位置に近接していて止まることのできない場合を除いては,停車位置を越えて進行してはならないこととされています(道路交通法施行令第2条)。

 これに違反した場合は,故意に信号無視したときは3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に,過失で信号無視してしまったときは10万円以下の罰金に処せられる可能性があります(道路交通法第119条1項一の二及び同条2項)。

 

2 交通反則通告制度

 ただし,信号無視に対する罰則については交通反則通告制度が定められています。

 交通反則通告制度とは,比較的軽微な交通ルール違反については,反則金を支払い,免許の減点を受けることで,刑罰を免れることができる制度です。

 

3 信号無視の反則金と違反点数

 赤信号を無視した場合,反則金は普通車の場合は9000円,違反点数は2点となります。

 黄色信号(点滅信号)を無視した場合,反則金は普通車の場合は7000円,違反点数は2点となります。

 違反点数が蓄積した場合は,免許停止などの処分が下ることがあります。

 

4 信号無視して事故を起こしてしまった場合

  信号無視の結果事故を起こし,相手に怪我を負わせてしまった場合は,単なる信号無視では済まず,業務上過失致傷罪や,悪質な信号無視の場合は危険運転致傷罪が適用される可能性もあります。

 また,信号無視して交通事故を起こし相手に損害を与えてしまった場合は,罰金とは別に相手に与えた損害を賠償しなければなりません。

 その場合でも,信号を守って事故を起こしてしまった場合と比べると,当然ながらその責任や賠償すべき金額も大きくなってきます。

 たとえば,交差点で一方が青信号で進入し,もう一方が赤信号で進入して衝突したというケースでは,原則として赤信号で進入した車両が一方的に悪いと考えられ,相手に生じた損害のすべてを賠償しなければならず,また,自分に生じた損害もすべて自分の責任となり,相手に賠償を請求することはできないことになります。

 

5 このように,軽い気持ちで起こした信号無視でも,重大な結果を招くことは少なくありません。

  車を運転する方は交通ルールを守って運転する必要があります。