障害年金の受給資格を得るための「納付要件」とは?


障害年金を受給するためには一定の要件があり、そのうちのひとつに、今までちゃんと年金を納めていたかどうかという「納付要件」がございます。




まず、①初診日の前々月からさかのぼって1年間年金を納めているなら、納付要件はクリアとなります。



たとえば、令和5年1月に初めて病院に行ったという場合には、その前々月である令和4年11月からさかのぼって令和3年12月までの期間の年金を納めている必要があります。



次に、仮に直近1年間で年金を納めていない期間があった場合でも、②年金加入から初診日の前々月までを通算して3分の2以上年金を納めているのであれば、納付要件はクリアとなります。



具体的には、令和元年1月に成人して年金の加入が始まり、令和5年1月に初めて病院に行ったという場合には、令和元年1月から令和4年11月までの47カ月間を通じて3分の2以上の月の年金を納めていれば大丈夫ということになります。



注意が必要なのが、この納付要件をクリアするためには、初診日までに年金を納めておく必要があり、初診日以降に追納したとしても受給資格は得られないということです。



たとえば、初診日の令和5年1月時点では年金保険料の未納があり、令和5年2月に未納していた保険料を追納した場合は、条件クリアとはならないということになります。



イメージとしては、ガンになった後にガン保険に加入して保険料を納めても、加入前に発症したガンに対して保険が下りないのと似ているかもしれません。



上記の納付要件との関係で、病院に行くタイミング等がわずかに遅れたために障害年金が受給できないというケースもあります。



たとえば、「1年間勤務した職場でのパワハラのため退職、しばらく自宅で休養したが回復せず、3カ月ほど経って初めて病院に受診、うつ病と診断された。退職後の3カ月は収入もないため年金保険料を納めていなかった・・・」などというのはよくあるケースかと思いますが、この場合は直近1年間の納付要件をクリアできないことになってしまいます。



しかし、上記のケースでもし退職してすぐに病院を受診していた場合には、1年間の保険料納付という要件はクリアとなり、問題なく受給資格を得られるはずでした。



さらにいうと、在職中に受診していれば、障害厚生年金の対象となり、手厚い保障を受けられていた可能性もあります。



障害年金の申請にあたってはこのような落とし穴も多く、事前に障害年金を扱う弁護士にご相談いただければと思います。