年金機構の判断でも覆せることがある

前回のブログで、傷病名を知的障害で申請したのに、年金機構が初診日を出生日と認めてもらえなかったケースをご紹介しました。


今回はその続きです。


もし年金機構の判断を受け入れると、遡及請求が不可能になってしまい、最大400万円近くを諦めなければいけません。


そのため、この年金機構の判断を覆す必要がありました。


とはいっても、やみくもに反論しても年金機構には通用しませんので、しっかり理屈と根拠を示して反論しないといけません。


このケースの難点は、申立人が知的障害だと判断された根拠が、50歳を過ぎてからの知能検査しかないというのが弱みでした。


これだけだと「50歳時点で知能指数が低下していることはわかるが、それが先天的なものだったのか、それとも統合失調症発症以降の後天的なものだったのかは断定できない」というのが、年金機構の理屈です。


そこで、依頼者からあらためて事情を聴き取り、初診の病院に限らず、精神科や心療内科の通院歴はないかを確認しました。


そうしたところ、成人後から現在までの30年間で、いくつか通院していた時期があることがわかりました。


それらの病院に何か手掛かりはないかを調べるため、各病院のカルテの開示請求を行いました。


その結果、その中のひとつの病院のカルテに、医師が「依頼者の症状は、統合失調症ではなく先天的な知的障害が原因ではないか」と疑う記載を見つけることができました。


さっそく、このカルテを追加資料で提出するとともに、「診断書を書いた主治医以外にも知的障害が原因だと指摘する医師がいる。実際に依頼者を診察した複数の医師の意見が一致しているのだから、先天的な知的障害の存在を認めるべきだ」という意見書も提出しました。


しばらくして年金事務所の判断は覆り、無事に知的障害の存在を認めてもらうことができました。


このケースのように、年金機構の判断であっても、代理人の弁護士の取り組み次第ではその判断を覆せるケースは存在し、それにより大きく支給金額が変わってくることがあります。