勤務弁護士と労働基準法の関係

 私の所属している弁護士法人心のホームページの集合写真が更新されました。

 おかげさまで,新しい弁護士やスタッフが数多く加わったため,集合写真の人数もだいぶ増えました。

 弁護士事務所というより,まさに会社という感じです。

 

 これだけ多くのスタッフがいれば,その労務管理というのは労働基準法をはじめとする法律に従って適切に行わなければいけません。

 

 さて,それでは,私のような弁護士の場合は,労働基準法などの法律は適用されるのでしょうか。

 気になる方もいらっしゃるかもしれません。

 

 弁護士と事務所との契約形態は,雇用契約もしくは業務委託契約という形式で取り交わされているところが大半だと思われます。

 弁護士法人心の場合は,雇用契約という形で契約を結んでおり,労働基準法の適用を念頭に置いています。

 なお,業務委託契約で事務所と契約している弁護士だからといって労働基準法の適用がないとは限りません。

 労働基準法の適用される「労働者」とは,職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます(労働基準法9条)。

 具体的な判断基準はいつかこのブログで取り上げたいと思いますが,いずれにしろ,弁護士にも労働基準法の適用はありえるということになります。

 

 もっとも,弁護士の仕事の内容や働き方は,やはり普通のサラリーマンとは異なりますので,職務の実情に合わせた法律の適用や労務管理が必要です。

 当事務所の場合,弁護士は専門業務型裁量労働制(労働基準法38条の3)を採用しています。

 たとえば,弁護士の労働時間については,終電間際まで書類を作る日もあれば,午前は裁判所に出廷して事務所に出勤するのは午後からという日もあったりと,弁護士の裁量でかなり不規則なのですが,裁量労働制を採用することで柔軟な労働管理が可能となります。

 ただし,近時の働き方改革の一環として,2019年4月1日から,使用者側には労働者の労働時間の把握義務が明文化されました(労働安全衛生法66条の8の3)。これは裁量労働制の場合にも適用されます。

 当事務所では,もともと秘書や法律スタッフの労働時間を1分単位で把握していましたが,今年の4月からは弁護士の労働時間の把握も務めるようになりました。

 

 今回は弁護士の働き方や労働法との関係について,当事務所の場合ということで少しだけお話させていただきました。

 弁護士に限らず多様な働き方が想定される時代で,会社の労務管理は一層重要になってきております。

 会社を経営している方は,自分の会社の労務管理が間違っていないか,弁護士に相談してみるのもよいかもしれません。