千葉県の柏の弁護士の伊藤です。
千葉もめっきり涼しくなってきました。
もうクールビズという季節でもないので冬のスーツを引っ張り出してきたところですが、不摂生と運動不足のせいかお腹回りが怪しくなっており、去年のスーツがだいぶタイトです・・・
さて、離婚に際しては元配偶者と間で財産分与や養育費、慰謝料など、金銭的な取り決めを行うこともあろうかと思います。
こういった離婚時の金銭のやり取りについては、支払い義務を負う側が自己破産する場合には、影響が生じることがあります。
まず、財産分与請求権や慰謝料請求権は、破産した場合は免責、つまり原則としてもう支払わなくても良い扱いになります(ただし、慰謝料の原因が暴力などだったりすると、破産後も支払う義務は残り続ける場合もあります)。
この場合、これらの請求権は他の借金と同列の扱いとなり、もし破産する配偶者に財産が残っているのであれば、金融機関などと一緒に配当を受ける(山分けにする)ことになります。優先的に受け取るということはできません。
もし破産する予定の配偶者から財産分与や慰謝料の名目で財産を受け取っていた場合、金額やタイミング、当事者の認識等によっては、事後的にその財産を裁判所に引き渡さないといけなくなる可能性もあります。
一方、養育費に関しては、破産しても原則元配偶者に請求する権利が残り続けることになります。
もっとも、元夫婦の経済状況に比べてあまりに高額な養育費を払っていた場合などは、養育費を装った財産隠しだと疑われる場合もあるので注意が必要です。
なお、破産するにあたって、配偶者との籍を抜いた方がいいのかという質問を受けることがあります。
破産する人の借金はあくまでその人自身が支払う義務を負うものですから、配偶者が保証人などになっていない限り、夫婦だからといって破産したら代わりに支払わないといけないということはありません。
したがって、配偶者が破産するからといって離婚しないと直ちに被害を受けるということはありませんが、破産した人はカードを作れなかったりローンを組めなかったりするなど経済的な影響が生じることはありますので、今後の生活設計はよく相談した方がいいかもしれません。