住宅資金特別条項の利用条件

個人再生において、住宅ローンの残っている自宅を残したい場合は、「住宅資金特別条項」という制度を利用して住宅を残すことができる場合があります。


住宅資金特別条項にはいくつかの利用条件があります。


そのうちのひとつに「自宅不動産に住宅ローン以外の担保がついていないこと」というものがあり、いくつかのケースでこの要件が問題になることがあります。



1 不動産担保ローンを組んでいる場合

典型的なケースとしては、不動産の残価値を利用して不動産担保ローンを組んでいる場合です。

この場合、住宅ローン以外の担保がついているため、住宅資金特別条項が使えません。


2 住み替えローンを利用した場合

住み替えローン(住宅ローンの残っている家を売却して新しい家に住み替える場合に、前の家のオーバーローン分もまとめて融資してもらえるローン)の場合なども注意が必要です。


たとえば、

①新しい家の購入資金で2500万円

②元々住んでいた家は住宅ローンが残り2000万円に対し不動産価値は1500万円で、500万円の補填が必要

という場合に、①と②の総額3000万円の融資を受けて抵当権を設定したとすると、②の部分は住宅資金としての借入とは評価できないと判断されて住宅資金特別条項が使えないおそれがあります。


3 マンションの管理費を滞納している場合

所有している不動産がマンションで、そのマンションの管理費を滞納している場合も、住宅資金特別条項を利用することができなくなります。


マンション管理費は法律上「先取特権」という担保権の一種認められており(建物の区分所有等に関する法律7条1項)、マンション管理費の滞納があると、住宅の上に住宅ローン以外の担保権が存在しているという扱いになり、住宅資金特別条項を利用することができません。



今回紹介したものの他にもいろいろな要件があるため、住宅資金特別条項を利用して家を残しつつ借金の整理を考えている方は、まずは弁護士に相談いただき自分が利用可能なのかを確認いただくのがおすすめです。