令和7年11月12日に本年度の司法試験の合格発表がありました。今年は1581人が合格し、合格率は41.2%でした。
合格者の皆様、本当におめでとうございます。
この司法試験ですが、来年の試験から制度の変更があります。
現在の司法試験には8科目の論文式試験があるのですが、これまでは手書きで答案を作成していたのが、来年からはパソコンを使っての作成に変更になります。
司法試験の論文式試験は、2時間(選択科目の場合3時間)の制限時間内に答案を完成させなければいけません。
書く内容はもちろん大事なのですが、文量も求められる試験なので、答案を書くスピードが重要であり、この点は受験者ごとにそれなりの能力差が出るところだと思われます(私も受験生時代は非常に苦労した記憶があります)。
また、スピードを求める結果、字の丁寧さは犠牲になりがちです。司法試験終了後は採点委員の講評があるのですが、「文字が乱雑で判読できない答案が散見される。大きく読みやすい丁寧な文字で書くことが望まれる。」などという最難関試験にしてはなんとも情けないお叱りを受けることが毎年恒例となっていました。
パソコンでの答案作成が導入されれば、タイピングスピードには個人差があるものの、一般的には手書きよりもパソコンでの作成の方が早く文字が書けるとされているので、答案作成に必要十分な時間が確保されることが期待されます。
また、採点の際に乱雑な字が読めないという問題もクリアされそうです。
これらの点からすると、今回の変更は非常に合理的な判断ではないかと思います。
ただ、手書き時代の受験生としては「1年で答案用紙を〇〇〇枚書いた!」とか「ボールペンの芯を●●本使い切った!」というのが密かな誇りではあったので、今後はそういうものがなくなっていくのだとすると、少し寂しい思いもあります。
とはいえ、実際に弁護士になってからは、契約書や示談書、裁判所に提出する書面などはパソコンで作成するのが基本で、手書きの筆力が求められる場面はほぼありませんので、これも時代の流れなのかなと思います。