精神の障害で、障害年金の対象となる病名・ならない病名


ひと言で「精神障害」といっても色々な病名があります。


その病名によって、障害年金の対象となるもの・ならないものがあることはご存じでしょうか。


精神の障害が障害年金の対象となるかならないかは、原則として、「ICD-10」という病気の診断カテゴリーの分類によって区別することとされています。


たとえば、うつ病や双極性障害、統合失調症、発達障害などは、障害年金の対象となります。


一方、適応障害やパニック障害、不安障害、人格障害などは、原則として障害年金の対象にならないとされています。


実際のところ、目に見えない精神の障害をうつ病などと診断するのか適応障害などと診断するのか、その区別は必ずしも明確ではないこともあります。


とはいえ、障害年金の審査においては、どちらの病名がつくか次第で、障害年金の対象となるのかならないのか、まさに天国と地獄のように結果が分かれてしまうのが難しいところです。


もっとも、対象となる病名で診断されていなかったからといって、障害年金の申請をすぐ諦めるべきではありません。


たとえば、当初は適応障害などと診断されていたが、病気が悪化し、うつ病や統合失調症と診断されるに足りる状態に至っている場合もあります。


その場合は、医師があらためて障害年金の対象疾患として診断書を書いてくれるのであれば問題はありません。


また、診断名自体は対象とならない病名であったとしても、病気の実態からして、うつなどの精神病の症状を示している場合には、例外的に障害年金の対象となる可能性があります。


ただし、障害年金は医師の診断書を中心とした書面審査が原則になるので、診断名や病気の実態をしっかりと診断書に反映してもらう必要があります。


医師は必ずしも障害年金の制度や審査基準などを熟知しているわけではありません。


そのため、患者本人や代理人弁護士から適切に働きかけをしなければ、きちんとした診断書を作成いただけないことがあります。


弁護士法人心では、診断書の作成段階からアドバイス・サポートを行っております。 自分の病気が対象になるのかどうかもわからないという段階であっても、障害年金の申請を考えている方はまずはお気軽にご相談いただければと思います。

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障害年金の遡及請求


障害年金は、原則として初診日から1年6か月後(「認定日」といいます。)に支給申請することができるようになります。



もっとも、障害年金の制度をそもそも知らなかったり、その当時は体調が悪くて身動きが取れないなど、障害認定日にすぐ申請できないことが少なくありません。



私が今まで対応してきた障害年金のご相談も、初診から1年6か月以上経ってから申請したいというケースが半分以上という印象です。



このようなケースでも、遡及請求という方法を使えば、過去にさかのぼって年金を請求するよう請求することができます。



遡及請求が認められれば、最大で過去5年間の障害年金をまとめて支給することができます。



一度に300万円以上支給されることも多くあります。



ただし、遡及請求を行う上でハードルになるのが、初診から1年6か月後時点の診断書を入手することです。



当時通院した病院にカルテ等の記録が残っていれば、その記録に基づいて書いてもらえる可能性があります。



しかし、カルテの保管期間は法律で5年間とされており、時間が経ちすぎているとカルテが破棄されてしまっているおそれがあります。



また、カルテが残っていても、その記載が必ずしも完璧とは限りません。



障害年金は専用の診断書を書いてもらう必要があり、記載事項は多岐にわたります。



医師としては、治療に必要な範囲でカルテを残すのであって、障害年金の診断書を書くために記録を残すのではありません。



そのため、診断書に必要な記載が漏れており、このような場合には医師としては「記録にない事項は書けない」と断れてしまうおそれがあります。



また、遡及請求の制度上の問題点として、あくまで認定日時点の症状で判断するので、認定日時点だとまだ症状は軽かったが、その後に悪化したようなケースでは、遡及請求は認められません。



遡及請求は過去の資料が必須であり、手続き自体も難しいため、弁護士等の専門家のサポートがないとなかなかうまく進められないケースが少なくありません。



長い間障害に苦しんでいるという方は、悩まず早めに弁護士に相談することをおすすめします。


働いていたら障害年金は受給できない?

障害年金のご質問・ご相談で多いものとして、「自分は働いているけど、障害年金を受給することはできるのか?」というものがあります。

日本年金機構のホームページを見ると、障害年金の認定基準について以下のような記載があります。

障害の程度1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

障害の程度2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

障害の程度3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

(以上、日本年金機構のホームページより)

これだけ見ると、一番症状が軽いとされる3級でも、「労働が著しい制限を受ける」状態でないといけないように読めます。

そのため、「働いていると障害年金は受給できない」と思ってあきらめてしまう方が少なくないようです。

もっとも、実際は、障害年金は働いているからと言って必ずしも受給できなくなるとは限りません。

たとえば、うつ病や双極性障害といった精神の障害では、「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活を判断する」ものとされています。

ただし、障害年金は書面審査が原則であるため、診断書や病歴・就労状況等申立書に上記の就労状況がきちんと言及されていないと、症状が過小評価されてしまうおそれがあります。

こういったケースでは、障害年金申請の前に、診断書や病歴・就労状況等申立書等に不備がないか、障害年金に精通する弁護士に相談することをおすすめします。

障害年金の請求は1年6か月待たないといけないのか


障害年金の請求をするためには、原則として初診の日から1年6か月の経過を待つ必要があります。



ただし、症状や治療の内容によっては、1年6か月を待たずに請求することが可能な場合があります。



たとえば、事故で手足を切断することになってしまった場合などは、手術を行った時点で、もうそこから1年6か月経とうが手足が生えてくるということはあり得ないため、その時点から障害年金を請求することができます。



同様に、人口関節や心臓にペースメーカーを入れた場合なども、手術を行った時点から請求することが可能です。



また、脳梗塞・脳出血によって身体マヒが残るなど身体の機能障害が残ってしまった場合は、初診から6か月経過し、かつ主治医がこれ以上改善の見込みが乏しい(症状固定)と判断した場合は、その時点から請求することができます。



この他にもいくつかの例外があります。



このような認定日の例外は、遡及請求(障害年金を過去にさかのぼって請求すること)を行う際にも重要になってくることがあります。



遡及請求の場合には認定日の診断書を過去の記録に基づいて書いてもらう必要にありますが、たとえば、初診から1年6か月が経つ前に人工関節の手術をして、医師から「もうこれ以上はリハビリをしても良くならないから」といわれて通院をやめてしまった場合に、「1年6か月の時点では通院していないから当時の診断書を書いてもらうことはできない」と判断して遡及請求を諦めてしまう方がいらっしゃいました。



この場合は、人工関節の手術をした日の病状を診断書に書いてもらえれば、問題なく遡及請求をすることができます。



実は、診断書を作成する医師も、このような例外があることをよく理解していないことが少なくありません。



そのため、患者に間違った案内をして請求の機会を逃してしまったり、診断書が書ける時期ではないと誤解しているため、患者からの作成依頼を拒否されてしまうことがあったりします(医師も悪気があってやっているわけではなく、本当に知らなくて間違った対応をしていることがほとんどです)。



そのようなケースでは、弁護士が病院との間に入り、制度の内容を説明することで診断書を作成してもらえることも少なくありません(複雑な制度の話なので、患者が問診のときに説明してもうまく伝わらなかったり、医師が聞く耳を持ってくれないということが結構あります。。。)。



障害年金の請求は専門的な内容が多いので、手続を進める際は、弁護士にご依頼いただくことが確実かつスムーズです。


障害年金等級の併合認定

弁護士の伊藤です。


今回は障害年金の併合認定について,少しお話したいと思います。


すでに障害を抱えている場合に,別の障害も発症してしまうというケースがあります。


たとえば,うつ病が発症している状態で事故に遭い,片腕が動かせなくなってしまった場合(一上肢の用を全廃したもの)などです。


この場合,2つの障害がそれぞれ2級相当であったとしても,2級の障害年金が2つ支給されるわけではありません(支給金額が2倍になるわけではありません)。


もっとも,複数の障害をかかえている場合,日常生活や仕事への影響は,障害が一つだけの場合と比べて大きいことが通常です。


そこで,複数の障害が認められる場合は,障害の内容にもよりますが併合認定を行うことで,より上位の等級が認められることがあります。


上述のケースだと,うつ病の2級と,一上肢の用を全廃したものの2級とが併合認定され,1級の等級が認められます。


この場合,2級の認定と比べて,障害年金の支給額も増えることとなります。


併合認定は,


・複数の障害について,まとめて障害年金の初回申請するケース,


・すでに障害年金を支給中に,後発の障害についても追加で申請して上位の等級を目指すケース,


・前発の障害で一度障害基礎年金を申請していたが支給に至らなかったケースで,後発の障害が加わることで初めて支給の対象となる可能性があるケース


など,いくつかパターンが考えられます。


ケースによって,申請の方法や注意すべき点が変わってくることがあります。


また,複数の障害が認められれば,すべてのケースで自動的に上位の等級に繰り上がるわけではありません。


障害の内容や程度にもよってくるところなどで注意が必要です。


併合認定の基準は以下の厚生労働省のホームページにガイドラインが公開されています。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/0000054720_1_4_3.pdf


複数のケガや病気の症状で日常生活や仕事に支障がある方は,併合認定によりより高い等級の認定を受けられる可能性があります。


すでに一度障害年金の認定を受けており,等級が変わることはないと思って申請していない方や,過去に不支給決定がされて,障害年金の申請をあきらめてしまっている方も少なくないようです。


自分や家族が該当するかもしれないと思った方は,障害年金に精通する弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

障害年金の種類と金額

1 障害年金は大きく分けて2種類ある


 障害年金には、①障害基礎年金と、②障害厚生年金の2種類があります。


 どちらが支給対象になるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。


2 障害基礎年金


 障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入している方、たとえば、自営業者、学生、専業主婦などが対象となります。


 障害基礎年金は1級と2級の等級が設定されています。


 障害基礎年金の支給金額は定額です。加入年数にかかわらず、等級が同じであれば、だれもが同じ金額をもらえます。


 具体的には、1級の場合は年額97万7125円、2級の場合には年額78万170 0円となります。


 また、障害年金の受給者に生計を維持されている子供がいる場合には、子の加算も受けることができます。


 子の加算については、子ども2人までは1人につき22万4900円、子ども3人目からは1人につき7万5000円の加算となります。


3 障害厚生年金


 障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入している方、たとえば会社員や公務員などが対象となります。


 障害厚生年金は1級・2級・3級の等級が設定されています。


 障害厚生年金の支給金額は、平均報酬月額(それまでもらっていた報酬額)や加入月数によって計算されます。


 1級の場合は、2級・3級の場合の1.25倍の金額が支給されます。


 また、等級が2級以上でかつ配偶者がいる場合には、22万4900円の加給年金額が加算されます(65歳未満で年収が830万円未満の場合に限ります)。


4 障害年金は弁護士に相談を


 このように、障害年金はいくつかの種類と金額に分かれており、自分はどの対象となるか、支給金額はいくらになりそうなのか、そもそも支給の可能性があるのかどうかなどは、専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

知的障害と障害年金


障害年金は、身体障害やうつ病などの精神障害などの他にも、先天的な知的障害も支給の対象になる場合があります。

本日は、知的障害で障害年金を申請するうえでのポイントをご説明いたします。

1 初診日

原則として、障害年金の申請には、初めて病院で診断を受けた日(初診日)がいつであるかが明らかでないといけません。

しかし、例外的な取り扱いとして、知的障害は先天的なものと考えられているので、初診日は原則として出生の日とされます。

そのため、初診日の証明は原則として不要となります。

2 障害認定日

知的障害の場合は、20歳の誕生日の前日が障害認定日となります。

3 納付要件

障害年金の支給を受けるためには、初診日までに一定の保険料を納めている必要がありますが、初診日が20歳より前の場合は、保険料の納付は不要となります。

知的障害の場合は、初診日は出生の日とされる関係で必然的に20歳前の初診日となりますから、納付要件も不要となります。

ただし、知的障害の場合は、20歳を過ぎて就職し厚生年金に加入していたとしていたとしても障害厚生年金の支給の対象にはならず、障害基礎年金のみが支給の対象となることに注意が必要です。

4 知的障害で障害年金が支給されるかの基準

障害基礎年金には等級が1級もしくは2級のみしかなく、障害厚生年金の場合には比較的軽度の場合に認められる3級が存在しないので、ある程度の日常生活や社会生活の支障が求められることになります。

1級ないし2級に該当するか、もしくは非該当になるかの判断は、一定の目安はありますが、様々な要素を考慮したうえで、障害認定審査委員が専門的な判断に基づき、総合的に判断するものとされています。

5 療育手帳との関係

知的障害を持っている場合、自治体から療育手帳の交付を受けている方も少なくありません。

療育手帳の制度は障害年金の制度と完全に別物となりますので、療育手帳の交付を受けている=障害年金が支給されるというわけではありません。

もっとも、「精神障害に係る等級判定ガイドライン」によれば、療育手帳の有無や区分を考慮するものとされており、療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級また2級の可能性を検討し、それより軽度の区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討するものとされています。

知的障害の場合は、四肢の欠損などの身体障害と比べると明確な基準がない分、申請の際には様々な資料を他覚的に検討する必要があります。

ご自身やご家族が知的障害を抱えており、障害年金の申請を考えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士による障害年金申請のサポート


障害年金は公的年金のひとつで、病気やケガのために就労や日常生活に支障があるときに支給を受けることができます。

障害年金の特徴として、その病気やケガになった原因は問われません。

たとえば、労災保険は仕事中や通勤中の事故、自賠責保険は交通事故でないと受給することができませんが、障害年金にはそのような制限がありません。

令和2年度の統計によると、日本全国の障害のある人は964万7000人に上り、年々増加傾向にあります。(令和2年度障害者白書より)。
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r02hakusho/zenbun/siryo_02.html

このような障害を抱える人の生活の保障は、大きな社会的な課題のひとつになっているといえます。

一方で、その生活保障の中核となる障害年金の受給者数は、令和元年度時点で221万1000人にとどまっています(令和元年度厚生年金保険・国民年報事業年報より)。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_r01.pdf

つまり、障害者の700万人以上が、障害年金を受給できていないままということになります。

その原因としては、障害年金の申請手続の煩雑さがあると思われます。

障害年金の申請には、医師に診断書の作成を依頼するほか、病歴や就労状況の報告書、加入している年金の種類によって異なる申請書などを作成して提出する必要があります。

病気やケガで疲弊している方には、少なからぬ負担であると思われます。

また、障害年金を受給するためには一定の要件があり、診断書の記載内容が不十分・不適切であったため、本来受給の要件を満たすべき障害が認定されなかったというケースも多くあると推測されます。

適切な認定を受けるためには、診断書の作成から申請の手続きまで、専門家のサポートがとても重要であるといえます。

そこで、弁護士法人心は、この障害年金の問題を集中的に取り扱う「障害年金チーム」を結成し、障害年金に関するご相談や申請代行などのサポートをさせていただいております。

障害年金は過去に受給できたはずの金額を遡って請求できる可能性もあり、その場合は時効で権利が消滅することのないよう、できるだけ早めに申請を行う必要があります。

障害年金の申請を考えている方は、お気軽にご相談いただければと思います。