利益相反

弁護士には職務上守らないといけないルールがあります。


そのひとつに利益相反行為の禁止というものがあります。


「利益相反」とは、一方の当事者にとっては利益になることが、もう一方の当事者にとっては不利益になる状態をいいます。


たとえば、離婚の相談を考えている夫が相談しようと思った弁護士が、実はすでに妻からの相談に乗っていたというケースや、勤務先のパワハラの相談をしたいという場合に、その相談した弁護士が勤務先の顧問弁護士でもあったという場合をイメージしてください。


この場合、弁護士が後からやってきた相談者に適切なアドバイスをするということは、先に相談を受けていた相談者や依頼者にとっては不利益なアドバイスをするということになりかねません。


かといって、元々の依頼者に不利にならないようなアドバイスをすること(たとえば、「そんな請求無理だから諦めた方がいいよ」と諭すなど)は、弁護士を信頼して話してくれた後からの相談者を裏切ることになってしまいます。


また、この場合に相談に乗ってしまい相談者の話を聞いてしまうと、元々の依頼者が本来知るはずのなかった相談者の秘密を知ってしまうことがあります。


相談の中で知り得た秘密を弁護士が自分の依頼者のために活用するのは、それはそれで守秘義務というルールに違反して許されないのですが、かといって、知らないふりをして職務をするというのも不自然な事件処理を強いられることになります。


そのため、このようなケースでは弁護士はどうやっても適切な職務を遂行することができなくなる可能性があるので、最初の段階で相談を乗ること自体から禁止されているのです。


当法人でも、はじめてお問い合わせいただいたときに関係者の名前をおうかがいさせていただくことがありますが、これはまさしく利益相反に当たらないかを確認するための作業になります。


また、利益相反に該当する場合は相談をお断りしないといけないのですが、その際に「すでにあなたと敵対する関係者の相談にのっているため相談できません」とお伝えすることもできません。「弁護士と相談している」ということ自体が大事な秘密であるため、それをお伝えすることも禁止されています。